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会社を辞めるときの大切なお話
ケンタ:「ねえねえ、ガマえもん! さっきリビングで、お父さんと親戚のおじちゃんが真剣な顔をしてお話をしていたんだ。おじちゃんがね、『会社を辞めることになったんだけど、手続きがすごく大変なんだ……』って、頭を抱えて困っていたよ。会社を辞めるのって、そんなに大ごとなのかな?」
ガマえもん:「それはおじちゃん、とても不安で大変なときだね、ケンタくん。大人がお仕事を辞めるとき、次の新しい仕事が決まるまでの間、生活に困らないように国からお金をもらえる仕組みがあるんだ。それを『失業手当(しつぎょうてあて)』って言うんだよ。でもね、辞め方によってもらえるお金の量や、もらえるまでの時間が全然違ってくるんだ」
ケンタ:「へえ! 辞め方に種類があるの?」
ガマえもん:「そうなんだ。大きく分けて『自分の都合で辞める(自己都合)』と『会社の都合で辞めさせられる(会社都合)』の2つがあるよ。実は、会社の都合で辞める方が、お金が早く、たくさんもらえるんだ。今日はおじちゃんが損をしないために、その仕組みについて分かりやすくお話しするね」
2つのお金の仕組みと「3つのグループ」
ケンタ:「どうして会社の都合で辞める方がおトクなの? 自分で『辞めます』って言う方が、なんだかスッキリして良さそうだけど……」
ガマえもん:「自分の意志で辞める人は、次の準備を自分で考えてしているはずだから、国も『少し待ってからお金をあげるね』というルールにするんだ。だいたい1ヶ月以上待たされるよ。でも、会社が倒産したり、急にクビと言われたりした人は、明日からの生活に困っちゃうよね? だから国は、たった7日間待つだけで、すぐにお金を出し始めるんだよ。しかも、もらえる日数の上限も、自分で辞めた人の2倍以上になることがあるんだ」
ケンタ:「そんなに違うんだ! じゃあ、みんな『会社の都合』にしたいよね?」
ガマえもん:「そうだね。だから、お仕事を辞める人は細かく分けると3つのグループに分けられているんだよ」

- 第1グループ:一般の辞職者(自己都合) ケンタくんの言う、自分の意志で自由に辞める人たちだね。
- 第2グループ:特定受給資格者(会社都合) 会社が潰れたり、急に辞めさせられたりして、困って辞める人たちだよ。
- 第3グループ:特定理由離職者(その中間) 自分から辞めるって言ったけれど、そう言わざるを得ない深い理由があった人たちだよ。
実は「会社の都合」にできるかもしれない理由
ケンタ:「おじちゃん、お父さんに『自分で辞めますって紙に書いちゃった』って言っていた気がする……。じゃあもう、第1グループになっちゃうから、お金をすぐにもらうのは無理なのかな?」
ガマえもん:「実は、そこが今回のポイントなんだ。書類に『自分の都合』って書いて提出してしまっても、後からひっくり返して『本当は会社の都合なんです』って国に認めてもらえる場合があるんだよ」
ケンタ:「ええっ! そんなことできるの? 嘘をついたら怒られちゃうよ?」
ガマえもん:「嘘をつくんじゃなくて、本当のことを伝えるんだよ。会社はね、自分のせいで社員が辞めたって言いたくないから、社員に『自分の都合で辞めますって書いてね』って誘導することがよくあるんだ。でも、よく話を聞いてみると、実は会社が悪いケースがいっぱいあるんだよ。例えば、こんな理由があれば、後から変更できるんだ」
- 会社が倒産しそうだったり、他の場所へ遠く引っ越して通えなくなったりした。
- 上司から「君はもう来なくていいよ」と言われたり、意地悪で全然違う仕事をさせられたりした。
- お給料が急にものすごく減らされたり、何か月も払ってもらえなかった。
- 毎日、夜遅くまでものすごい量の残業をさせられて、体がボロボロになった。
- 意地悪(パワハラ)をされたり、赤ちゃんが産まれるのに休ませてもらえなかった。
ケンタ:「うわぁ、そんなひどいことがあったなら、自分の都合じゃなくて、完全に会社のせいだね!」
ガマえもん:「そうなんだ。あと、病気になって働けなくなったり、家族の看病をしなきゃいけなくなって辞めた場合も、第3のグループ(特別な理由)として認めてもらえるから、すぐにお金がもらえるようになるんだよ」
ハローワークという場所で相談しよう
ケンタ:「でも、おじちゃんが会社の人に『やっぱり会社の都合にしてください』って言いに行くの、気まずいよ。僕なら怖くて言えないな……」
ガマえもん:「お仕事を辞めたあとなら、会社に直接言わなくても大丈夫だよ。国のお仕事を探す場所で『ハローワーク』というところがあるんだ。そこに行って、職員さんに『実は会社でこんなことがあって、辞めるしかなかったんです』って正直に相談するんだよ。タイムカードのコピーやお給料の明細なんかを持っていくと、職員さんが『なるほど、これは会社が悪いね』って調べてくれるんだ」
ケンタ:「ハローワークの人が味方になってくれるんだね! 頼もしいや!」
ガマえもん:「ただね、ハローワークの人が本当にそれが正しいかどうか会社に確認したり、調べたりするから、認めてもらうまでに1ヶ月くらい時間がかかることはあるよ。でも、最終的にもらえるお金の量が増えたり、健康保険のお金が安くなったりするから、絶対に相談した方がいいんだ」
ケンタ:「知っているのと知らないのとでは、大違いだね。お父さんとおじちゃんに、このことを早く教えてあげなきゃ!」
ガマえもん:「そうだね。世の中には、こういう仕組みをよく知らなくて、損をしてしまっている大人がたくさんいるんだ。だから、困ったときはひとりで悩まずに、まずは詳しい場所に相談してみることが大切なんだよ」
失業保険はいくらもらえるの?
ケンタ:「あのね、ガマえもん。おじちゃんが『手続きも大変だけど、これから入ってくるお金が減るのが一番怖いんだ。一体いくらくらいもらえるんだろう……』って、すごく暗い顔をしていたんだ。失業保険って、実際にはどれくらいのお金がもらえるものなの?」
ガマえもん:「それは一番気になるところだよね。失業保険(正式には雇用保険の『基本手当』)でいくらもらえるかは、『1日あたりいくらもらえるか(基本手当日額)』と、『何日間もらえるか(給付日数)』の掛け算で決まるんだ。ざっくり言うと、会社にいたときのお給料の約50%〜80%が、毎月のお金としてイメージできるよ。お給料が低かった人ほど、高い割合(80%に近い数字)でお金がもらえる仕組みになっているんだよ」
ケンタ:「へえー! お給料の半分から8割くらいがもらえるんだね。じゃあ、まずは『1日あたりいくらもらえるか』の計算から教えて!」
ガマえもん:「いいよ。まずは、会社を辞める前の直近6ヶ月間のお給料(ボーナスは除くけど、残業代や色々な手当は入るよ)を全部足して、180で割るんだ。これで『1日あたりのお給料』が出るよね。そこに、さっき言った50%〜80%の割合を掛けて、1日あたりの失業保険の額を決めるんだ。ただし、年齢ごとに1日にもらえる上限の金額が決まっているんだよ」
ケンタ:「大人は年齢によって上限が違うんだね。どんな風に分かれているの?」
ガマえもん:「表にまとめると、こんな感じだよ」

| 年齢のグループ | 1日あたりにもらえる上限額 |
|---|---|
| 30歳未満 | 7,255円 |
| 30歳以上 45歳未満 | 8,055円 |
| 45歳以上 60歳未満 | 8,870円 |
| 60歳以上 65歳未満 | 7,623円 |
ガマえもん:「ちなみにね、どんなにお給料が少なかった人でも、1日あたり最低2,411円は絶対にもらえるという下限額のルールもあるんだよ」
何日間もらえるかで合計の金額がガラリと変わる
ケンタ:「1日あたりの金額は分かったよ! じゃあ、次は『何日間もらえるか』だね。これはどうやって決まるの?」
ガマえもん:「そこがおじさんにとって一番大事なところだよ、ケンタくん。もらえる日数は、『会社を辞めた理由』と『その会社で働いた年数(雇用保険に入っていた期間)』でガラリと変わるんだ」
ケンタ:「さっき言っていた『自分の都合』か『会社の都合』かが、ここでも関係してくるんだね!」
ガマえもん:「ピンポーン!大正解! まず、自分で『辞めます』と言って辞めた場合(自己都合退職など)は、働いた年数によってカチッと日数が決まっているよ」

- 1年以上 10年未満働いた人:90日間
- 10年以上 20年未満働いた人:120日間
- 20年以上 ずーっと働いた人:150日間
ケンタ:「長く働いた人ほど、たくさんもらえるんだね。じゃあ、会社がつぶれたり、クビになったときの『会社の都合』の場合はどうなるの?」
ガマえもん:「会社の都合や、やむを得ない理由で辞めることになった人(特定受給資格者など)は、国からものすごく手厚く守られるんだ。年齢や働いた年数によって、90日間から、最大でなんと330日間ももらえるようになるんだよ! 自己都合だと最大150日間だから、2倍以上の長さになることもあるんだよ」
ケンタ:「330日って、ほとんど1年間じゃないか! 会社の都合になると、本当にもらえる期間がものすごく伸びるんだね」
ケンタくんとおじさんでシミュレーションしてみよう
ケンタ:「ねぇガマえもん、これだと数字ばかりでちょっとわかんないから、おじちゃんの代わりに例えて計算してみてほしいな!」
ガマえもん:「いいよ。じゃあ、例えばおじさんがわかりやすく『30歳』で、その会社で『3年間』真面目に働いていて、毎月のお給料が『25万円(税金などが引かれる前の額面)』だったとしよう。もしもおじさんが、そのまま『自分の都合』で辞めてしまった場合のシミュレーションをするね」

- 1日あたりの手当:約5,500円(お給料の約66%の割合になるよ)
- もらえる日数:3年勤務だから、自己都合だと「90日間」
- もらえる合計の金額:5,500円 × 90日 = 約49万5,000円
ケンタ:「約50万円かぁ。これだけあれば少しは安心だけど、次の仕事が見つかるまで足りるかな…」
ガマえもん:「そうだよね。でもね、もしもおじさんが『本当は毎日ものすごい残業をさせられていた』とか『上司から意地悪をされていた』という理由があって、ハローワークで『会社の都合』に変更してもらえたらどうなると思う?」
ケンタ:「もらえる日数が、さっきの会社の都合のルールに変わるんだよね!」
ガマえもん:「その通り! 30歳で3年勤務の人が会社の都合になると、もらえる日数が90日間から『120日間』に増えるんだ。場合によってはもっと増えることもあるよ。もし120日間になったら、計算はこうなるよ」
- 1日あたりの手当:約5,500円(ここは変わらないよ)
- もらえる日数:会社の都合になったから「120日間」にアップ!
- もらえる合計の金額:5,500円 × 120日 = 約66万円
ケンタ:「わあ! 50万円だったのが、66万円に増えた! 15万円以上も多くなるんだね!」
ガマえもん:「さらに働いた年数がもっと長ければ、日数が180日や240日になって、合計で100万円以上になることだって珍しくないんだ。だからこそ、自分の都合なのか、会社の都合なのかをハローワークできちんと伝えることが、おじちゃんのこれからの生活を守るためにものすごく大切なことなんだよ」
ケンタ:「おじちゃん、お給料が減るのが怖いってビクビクしていたから、この計算のお話をしたら絶対に元気になるよ! 自分の都合って紙に書いちゃっていても、ハローワークに相談すれば味方になって調べてくれるんだもんね」
ガマえもん:「そうだよ。正確な金額や日数は、退職したあとに会社からお家に送られてくる『離職票(りしょくひょう)』という書類を持ってハローワークに行けば、職員さんがその場できっちり計算して教えてくれるからね。おじさんに『ひとりで悩まないで、まずはハローワークで本当のことを全部お話ししてね』って、ケンタくんから優しく伝えてあげてね」
ケンタ:「うん! 僕、さっそくリビングに行って、お父さんとおじちゃんにこの失業保険の仕組みを全部教えてあげる! ガマえもん、大切なことを教えてくれて本当にありがとう!」
おしまい


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