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自転車屋さんで見た、ふしぎな光景
ケンタ:「ガマえもん、聞いてよ!昨日、自転車屋を買いに行ったら『なんでだろう?』って思ったことがあってさ…」
ガマえもん:「おや、ケンタくん。自転車屋さんで何があったんだい?」
ケンタ:「中学生くらいのお兄ちゃんがサドルを持ち込んで交換を頼んだら、店員さんに『こうちんがかかるよ』って言われてたんだ。自分のサドルなのに、なんでお金を払うの?」
ガマえもん:「なるほどね。ケンタくんは『工賃』という言葉の意味もわからないし、サドルはお兄ちゃんの持ち物だから、タダで付け替えてもらえると思ったんだね」
ケンタ:「うん!だって部品はお兄ちゃんが用意しているんだよ?ネジを回して付け替えるだけなのに、どうしてお金がかかるのか全然わからなかったんだ」
ガマえもん:「その『工賃』という言葉に、世の中の大切な仕組みが隠れているんだよ。ケンタくんに分かりやすく話してあげるね」
モノの値段と、人の手にかかるお金の違い
ガマえもん:「ケンタくん、コンビニでジュースやお菓子を買うとき、何にお金を払っているかな?」
ケンタ:「それはもちろん、ジュースやお菓子に決まってるじゃん!」
ガマえもん:「だよね。それがジュースやお菓子、つまり『モノの代金』だ。じゃあ、美容室や床屋さんで髪を切ってもらう時はどうかな?切った後の髪の毛を持って帰るわけじゃないよね」
ケンタ:「あ!確かに!髪の毛を買っているわけじゃないのに、千円とか二千円とか払ってる」
ガマえもん:「そうなんだ。髪を切ってもらう時にお金を払っているのは、ハサミという道具でもなく、切った髪でもない。『髪をきれいに切って整えてくれるプロの作業と時間』にお金を払っているんだよ」
ケンタ:「そっか!道具やモノじゃなくて、切ってくれたこと自体にお金を払っているんだ」
ガマえもん:「その通りだよ。自転車屋さんの『工賃』もまったく同じなんだ。『工』は工作や作業のこと、『賃』はお礼のお金という意味なんだよ。サドルそのものは『モノ』だけど、それを安全に取り外して、新しいサドルをまっすぐガタつかないように取り付ける作業は、お店の人の『手と時間と技術』を使っているんだよ」
プロが動く時、そこには責任と技術がある
ケンタ:「工賃ってそういう意味だったんだ!でもさ、ネジを外して付け替えるくらいなら、僕でもお兄ちゃんでもできそうなんだけど?」
ガマえもん:「そう思うかもしれないね。でもね、もし自分でやってネジの締め方が弱かったらどうなるかな?」
ケンタ:「走っている最中にサドルがグラついて転けてケガするかもしれない……」
ガマえもん:「その通り。自転車屋さんは、乗る人が絶対にケガをしないように、専用の工具を使って、ちょうどいい強さでしっかり固定してくれる。命を乗せて走る乗り物だからこそ、プロが責任を持って作業しているんだ。工賃には『安全を約束する技術へのお礼』も入っているんだよ」
ケンタ:「なるほど……!ただネジを回しているだけじゃなくて、安全に乗れるようにプロの力を使ってくれているんだね」
ガマえもん:「それにね、ケンタくん。お店の人がそのお兄ちゃんのサドルを交換している15分間、お店の人は他の仕事ができないよね」
ケンタ:「あ、パンクを直したり、新しい自転車を組み立てたりする時間が使えなくなっちゃうね」
ガマえもん:「そうなんだ。人が働くということは、自分の大切な『時間』と『力』を使っているということなんだよ。だから、人が動いて何かをしてくれたら、そこに対価としてお金が発生するのは当たり前のことなんだ」
「送料無料」の本当のカラクリ
ケンタ:「人が動いてくれるとお金がかかる……。そういえばさ、この前うちのママがネットでお買い物する時、『これ商品、送料がかかるの!送料無料なら買うのに、もう!』って言ってたんだ。送料無料のお店だとドライバーさんはタダで届けてくれてるの?」
ガマえもん:「ふふ、お母さんも送料無料に惹かれちゃうよね。でもね、ケンタくん。ドライバーさんがタダ働きをしているわけじゃないんだよ」
ケンタ:「えっ、じゃあどうして『無料』でお客さんに届くの?」
ガマえもん:「それはね、ドライバーさんに払う送料が、あらかじめ『商品の値段の中』に含まれているからなんだよ」
ケンタ:「商品の値段の中に……!?」
ガマえもん:「例えば、あるお店で『1500円+送料500円=合計2000円』で売っているおもちゃがあるとしよう。別のお店では『送料無料で2000円!』って売っていたりするんだ。見せ方が違うだけで、どちらもちゃんと運んでくれる人のためのお金が入っているんだよ」

ケンタ:「そっか!本当に運ぶ作業がゼロ円なんじゃなくて、最初からモノの値段とまとめて計算されているだけなんだね。お母さんにも教えてあげなきゃ!」
ガマえもん:「そうなんだよ。トラックを動かすガソリン代も、荷物を届けてくれるドライバーさんの体力や時間も、タダでは存在しない。誰かが動く以上、どこかで必ずお金がかかっているんだよ」
「ありがとう」の気持ちとお金を払う理由
ケンタ:「僕、今まで目に見える商品ばかり気にしていて、その裏でたくさんの人が動いてくれていることを見落としていたよ」
ガマえもん:「みんな最初はそうだよ。目に見える『モノ』のほうが分かりやすいからね。でも、社会というのは『誰かの得意なことや頑張り』をみんなで交換し合って成り立っているんだ」
ケンタ:「交換し合っているって、どういうこと?」
ガマえもん:「例えば、ケンタくんのお父さんやお母さんも、会社や仕事場で自分の時間と力を使って誰かの役に立っている。そのお礼としてお給料をもらっているんだよ。そして、そのお金を使って、自分ではできない自転車の修理を頼んだり、荷物を届けてもらったりして、他の人の時間と技術にお礼を払っているんだ」
ケンタ:「僕たちの生活は、いろんな人が動いてくれたおかげで便利で楽しくなっているんだ!」
ガマえもん:「その通り。だから『工賃』を払うというのは、ただお金が減るということではなくて、『自分にできないことを代わりにやってくれてありがとう』という感謝の気持ちを行動で示すことなんだ」
まとめ:大人になるために知っておきたいこと
ケンタ:「昨日の自転車屋さんのお兄ちゃんも、工賃の意味が分かれば納得したんじゃないかな」
ガマえもん:「そうだね。『自分でできるなら自分でやる、プロに安全や確実さを頼むならしっかり工賃を払う』という選択ができるようになると、とても立派なお金の使い方を知っている大人になれるよ」

ケンタ:「僕も今度、自転車の修理をしてもらったり、ネットで届いた荷物を受け取ったりする時は、人が動いてくれていることに感謝しようと思うよ!」
ガマえもん:「うん、ケンタくんならそう言ってくれると思っていたよ。目に見えない『人の働き』に気づけるようになると、世の中を見る目がぐっと大人に近づくからね」
おしまい


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