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選ばれなかった日の話
ケンタ:「ガマえもん、なにをやってもうまくいかないだ…」
ガマえもん:「ケンタくん。ひとつ、話を聞いてくれるかい」
ケンタ:「話?」
ガマえもん:「ハルくんっていう中学生の話だよ。君と同じことを言っていた子なんだ」
落ちた日
ハルくんは、選抜チームのテストに落ちた。
一緒に受けた友だちは、全員合格していた。名前を呼ばれなかったのは、ハルくんだけだった。
家に帰る道で、ハルくんは思った。
「なんで、ぼくだけ」
その日から、ハルくんはサッカーが少しきらいになった。
だれもいないグラウンドで
それでもハルくんは、放課後にひとりで壁に向かってボールを蹴った。
うまくなりたかったからじゃない。くやしさをどこにも置けなかっただけだ。
ケンタ:「その気持ち、わかる気がする…」
ガマえもん:「うん。ハルくんもね、その時は意味なんてわからなかったんだ」
見えていたもの
選抜に落ちたハルくんは、地元のチームに残った。
そこは強くなかった。だからハルくんは、試合にたくさん出られた。負けて、考えて、また試合に出た。
一方、選抜に受かった友だちは、レベルの高いチームでベンチに座り続けていた。
ケンタ:「えっ、受かったのに出られなかったの?」
ガマえもん:「そういうことは、よくあるんだよ」
1年後
1年後の大会で、ハルくんのチームは強豪校に勝った。
決勝点を決めたのはハルくんだった。あの日ひとりで蹴り続けた、壁パスと同じ形だった。
試合のあと、ハルくんは気づいた。
あの日落ちたから、ぼくはここに立っている。
つらさは、消えずに残る
ハルくんは、選ばれなかった悔しさを覚えている。
だから、ベンチにいる後輩の気持ちがわかる。声をかけられる。
ガマえもん:「あの孤独があったから、人に優しくなれた。これは楽をした人には手に入らないものだ」
ケンタ:「『つらかったこと』や『くやしさ』が、そのまま強さになったんだね」
ピースは、あとでそろう
ガマえもん:「その瞬間には、意味なんてわからない。ハルくんもわからなかった」
ケンタ:「うん」
ガマえもん:「今はね、ジグソーパズルのピースを1枚ずつ拾ってる途中なんだ」
ケンタ:「1枚だけ見ても、なんの絵かわからないもんね」
ガマえもん:「そう。だからつらい日も、はずれのピースじゃない。全部そろった時、1枚の絵になるんだ」
きみの今日も、その途中だ
ガマえもん:「起きる出来事は、きみを苦しめるために起きてるんじゃない」
ケンタ:「ちがうの?」
ガマえもん:「もっとふさわしい場所へ連れていくために起きてる。だから今すぐ答えが出なくていいだ」
ケンタ:「でも、遠回りしてるみたいで嫌だよ」
ガマえもん:「遠回りに見える時ほど、一番正しい道を歩いてる。だから、自分を信じるんだよ」
まとめ
- 選ばれなかった日が、本当の始まりになることがある
- その瞬間には意味がわからない。それでいい
- つらさを知った人だけが、人に優しくなれる
- バラバラのピースは、いつか1枚の絵になる
- 遠回りに見える時ほど、正しい道を歩いている
ケンタ:「ぼくの今日も、まだ途中なんだね」
ガマえもん:「そうだ。遠回りを信じて!そして、自分の人生を信じるんだよ!」
おしまい


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